《2023.12.22-24》
“日本人の99%が死ぬまで行かない国”と言われているアルバニア。
どんな国かよく分からないという人も多いのではないでしょうか。
ここで、アルバニア豆知識を少々・・・
・国土は四国の1.5倍
・公用語はアルバニア語
・歴史上様々な国の支配を受けつつ、1946年最終的に独立。その後、共産党による独裁政治がはじまる。独裁政治体制の下で、国は鎖国体制に。また、国民は一切の宗教の信仰を禁じられ、無神論政策が行われる。
1990年に独裁政治が解かれるが、その後国民の約3分の2がねずみ講で全財産を失い、暴動が起きる。
現在経済状況は改善しつつあるが、今もなおヨーロッパ最貧国の一つと言われている。
なんともパンチの効いた履歴です。
ねずみ講被害を発端として暴動が起きたのは1997年のことだそうなので、そう遠い昔の話でもありません。
日本では大人も子供もたまごっちに夢中になっていたような時期に、アルバニアでは国民が一斉に財産を失っていたのです。なぜそんなことに…
・・・・・・
さて、今いるのはそんなミステリアスなアルバニアの世界遺産の町、ジロカストラ。
朝、宿の窓から外を見てハッとしました。
霧に包まれる町。
石造りの屋根に煙突。
丘の上の城。
これは・・・
まるでジブリ。
宿の共有スペースに行くと、使い古されたモップみたいな犬が飛び出してきました。
まるで、ジブリ。。
台所に行くと、絞められた鳥が2羽置かれていました。
そこへ、恰幅の良い宿のおばあさんがやってきて鳥の羽をむしり始めました。
辺りに散らばる羽と、みるみるうちに肉に変わっていく鳥…。
まるで、ジブリ。。いや、実際そんなシーン見たこと無いけど。
天気も良く気持ちが良いので、宿で自炊の朝食を済ませたあとは丘の上の城へ。
石畳の道に、石壁、石葺きの屋根。
ジロカストラは“石の町”言われていますが、本当に町全体が石でできています。
しつこいようですが、少し鄙びた町並みはほんとジブリの世界のようです。
こちらが丘の上の城。
割と急な坂道を登って到着しました。
入場料は、外の看板には200レクと書いてあったのに、実際には400レク(約650円)でした。
受付で、「外の看板に200レクって書いてあったんですけど…」と伝えると、
「あぁ、あれ3年前のです。」って…。
なぜ外さない?
数か月前とかのならともかく、3年も放置しているとは。
入ってすぐの回廊には、たくさんの大砲。
かつてこの城で使われたものかと思いきや、説明を読んでみるとどうやらそうでもないようです。
詳細はよく分からず。
回廊を抜けると、塀の向こうには美しいジロカストラの町並み。
先端にある時計台も、とても良い味を出しています。
やはり雰囲気がジブリ。
映画“ジロカストラの城”とか、既にあってもおかしくない気すらしてきます。
ただ、この城は実際そんなに見ごたえはありませんでした。
入れるエリアが少ないし、城としての歴史も正直いまいちよく分からず。
城内部に小さな軍事博物館がありましたが、そこは城の入場料とは別に200レクが必要とのことで入場せず。
1時間程城壁内を歩き回って見学は終了です。
・・・・・
雰囲気は良いもののこれといった観光地のないジロカストラ。
どこへ行こうかと悩んでいると、ドミトリーで同室だったアメリカ人の子が「町はずれにいい感じの橋があったよ」と教えてくれたのでそちらにも足を運んでみました。
↑場所はここです。
橋までは、山道をハイキング。
こちらがその橋。
詳しいことは分かりませんが、オスマン帝国時代のものかなーたぶんーというかんじです。
山に石造りの橋が架かる景色も、まるでジブリ。(しつこい)
この町で唯一ジブリとはかけ離れているのが、上の写真のようなたこ焼き型の建物。
これは、独裁政権時代に他国からの侵攻に備えて作られた避難シェルターで、ジロカストラに限らずアルバニア全土に存在しています。
主な仮想敵国はロシアで、国民はいつ攻めてくるか分からない敵に備えて各家庭にシェルターを作り、武器も持たされていたようです。
実際には敵など存在していなかったため、この大量のシェルターは一度も使われることはなく、現在もアルバニア各地に点在しています。(核攻撃なども想定して作られたので、頑丈すぎて簡単に撤去できないらしい)
こちらは、夜の旧市街。
私がジロカストラに滞在したのはたまたまクリスマスイブと重なっていたため、街はきらびやかなイルミネーションで装飾されていました。
もし日本にいたら、イブにイルミネーションを見ながら独りぼっちで歩くなんて涙がこぼれそうなシチュエーションですが、ここはアルバニア。
ここでは、クリスマスは恋人と過ごすものだとかプレゼントをもらうもんだとか、そんな習慣はないようです。
でもせっかくなので、イブの夜は外食。
もちろんおひとりさまです。
上の写真の丸いものは、味付けした米を丸めて揚げたジロカストラの郷土料理チフチです。
ビールは、アルバニアで一番よくみかけるコルカビール。
何となく暗いイメージのアルバニアの歴史とは裏腹に、陽気で明るいパッケージ。
味はさっぱり飲みやすい感じでした。
クリスマスイブ感が無さすぎなので、「なにかチキン料理はありませんか?」と尋ねたところ、胸肉のケチャップ煮のようなものが出てきて益々クリスマス感が無くなりました。
左上に写っている芋のおかずはお店のサービスです。
あと、ビールの隣にあるお猪口に入った無色透明の酒も、サービスで無限提供されました。
一口飲むと喉が焼けるほどの、超強烈なお酒です。
注文したチキンを全く食べ終えていないにも関わらず、またしてもサービス。
「この羊肉、超美味しいから食べてみて!」って。
たしかに歯が無くても噛めるくらいホロホロで、超美味しかったです。
サービスはとどまるところを知らず。こちらは激甘のシロップ漬けスイーツ。
今まで提供されたものを何一つ食べ終えていないのに、今度はサービスのパウンドケーキ。
なんだこの店はw
たっぷりの美味しい料理に美味しいお酒で、全くクリスマス感は無かったものの大満足のディナーでした。
出された料理は到底全部は食べきれず持ち帰り用におかずなどを包んでもらったところ、店のお兄さんは「明日の朝食べな!」とさらに追加でパンも包んでくれました。
お会計は、自分で注文したおかず2品とビール2本分だけ。あとは全てサービス。
あまりの温かいおもてなしに、このレストランだけでなくジロカストラの印象までもが一気に爆上がりしました。
その土地を印象付ける要因は色々あるとは思いますが、結局一番大きいのは人の印象なんだと思います。
人の親切に触れると、このような大して見どころのない鄙びた田舎町での一夜も素晴らしい思い出に変わります。
プレゼントも無いしイケメンもいないけど、良いのよ、これで。
最高のクリスマスイブだよ。
誰が勝ち組とか負け組とか、そんなのないよ。
楽にいこうじゃないか。
そんな風に思わせてくれたお店のご一家に心から感謝。
とても親日でサービス精神旺盛なご家族が経営するレストランは、上の地図の場所です。
綺麗な映えるレストランではありませんが、温かいおもてなしと美味しい料理に満足すること間違いなしなので、ジロカストラに行かれる方はぜひ足を運んでみてください。
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