《2024.1.7》
首都のブカレストを出た後はブラショフというルーマニア中央部の街に向かう予定だったのですが、その途中にシナイアという小さな美しい町があるとのことなので、立ち寄ってみることにしました。
調べたところによると、シナイア観光は半日もあれば十分とのこと。
なので、シナイアには宿泊はせず、ブカレストを出発→シナイア半日観光→ブラショフという具合に一日で回ってしまいたいと思います。
ブカレストからシナイアへ
ブカレストからシナイアへは、電車で向かいます。
ブカレストからシナイアへはそれなりに本数があるようですが、事前にルーマニア鉄道のHPで乗りたい電車の目星をつけておきました。
ブカレスト北駅構内。
飲食店はそこそこたくさんあるし、電光掲示板も大きくて見やすく、割と分かりやすい印象。
この駅の中にはいくつかの鉄道会社のオフィスがあるようなので、チケット購入の際には注意が必要です。
私は間違えて私鉄の窓口に行ってしまい、事前に目星をつけていたものよりはるかに高いチケットを提示されました。
「〇時〇分に●レイの電車があるはずでは?」と尋ねたところ、それならあっちの国鉄の窓口だよ、と教えられました。
こちらがその国鉄の窓口。
券売機でもチケットの購入は可能なようですが、操作に自信がないので窓口で購入しました。
事前に目星をつけていた電車の時刻と料金のスクショを見せたところ、一言も言葉を交わさずスムーズに購入出来ました。
こちらがそのチケット。
9時57分発で11時33分着、料金は52.50レイ(約1700円)でした。
電光掲示板は日本とほぼ同じ仕様でとても見やすいです。
一番左の謎のアルファベット表記は電車の種類です。
IRと書いてあるのは指定席の快速電車で快適ながら料金は多少お高め。
REと書いてあるのは自由席の鈍行で、時間が掛かる代わりにIRの半額くらいで乗ることが出来ます。
時刻の左横に書いてあるのは運行する鉄道会社の名前で、CFRというのが国鉄にあたります。
私が乗るのは9時57分のIRの国鉄電車なので、プラットホームは7番であることが分かります。
終点はシビウなのですね。降り過ごさないようにしないと。
電車は20分程遅れて来ました。
海外だと数時間の遅れもザラなので、20分の遅れはむしろオンタイムと言っても過言ではないくらいです。
車内はほぼ満席でした。
私が買ったのは指定席の快速なので、座れないという心配もなく快適。
電車は快調に進み、はじめから遅れていた分きっかり20分遅れでシナイアに到着しました。
シナイア観光
観光に出る前に、まずはキャリーバッグを預けなくてはなりません。
シナイア駅のプラットホームには、荷物預かり部屋があります。
荷物預かり部屋のドアには、“荷物預けに関しては、駅構内のトイレに行って聞け”という謎の張り紙がしてありました。
はて…トイレ…?
荷物部屋の番人はトイレから出られない花子さん的な人なのか?と首を捻りつつトイレに行ってみたところ、そこにはちゃんと荷物預かりの係員がいました。
どうやら荷物係のおばさんはトイレ(有料)の集金係も兼ねているらしく、暖房が効いて暖かいトイレの中に常に待機しているようです。
料金は10レイ(約330円)。
さて、身軽になったところで早速シナイア観光へ!
…と行きたいところですが、実はこの日は大雨。
気温は一桁。外に出ればたちまち雨風に去らされ寒さに震えることは必須です。
なかなか外に出る勇気が出ず、大してお腹も減っていないのに、薄暗い駅構内でとりあえず持っていたパンを食べて待機。
そんな無駄なことをしている内により雨脚が強まってきました。
満を持して外へ。
街の見どころを巡るには、駅の前にある丘を上へと登っていきます。
シナイアの町は、前情報にあったように中々おしゃれです。
建物一つ一つが大変凝った贅沢なつくりで、古くからこの地がお金持ちの避暑地となってきた様子がうかがえます。
本来は背後に美しい山々が見えるらしいのですが、それらはすっかり雲の中に隠れて見えず。
道の途中に、ぽつんと小さな十字架がありました。
これは、もともと町のシンボルのシナイア僧院にあったものなのだそうです。
共産党の独裁政権時代、キリスト教の信仰の禁止に伴い十字架は処分させられてしまったのだそうです。
しかし、それを地元の人がこっそり保管しており、現在ここに設置されているのだとか。
・・・様々な歴史を搔い潜ってきた貴重な遺産のようですが、雨に濡れ寒さと戦う私には、それを間近で見てみたいという心の余裕はありません。
道の向こう側へ渡ることすらせず、かろうじて遠目の写真を一枚撮ってスルー。
さて、ところどころに雪の残る坂道を、ずっこけそうになりながらひたすら上り辿り着いたこの立派な建物。
名前はペリショール城というそうで、ルーマニア王カロス1世が1905年に狩猟用に建てた城だそうです。
入場料を払えば中にも入れるそうですが、そもそも入る気が無かったので外から写真を数枚撮って終了。
ペリショール城から歩いて数分のところにはもう一つお城があります。
それがこちら、ペレシュ城。
先ほどのペレショール城より大きく、いかにも“城”という感じの威厳を感じます。
雨と寒さで城などどうでも良い気分になっている私ですら、この城が視界に入った時は「おぉ…」となりました。
こちらは、1875年にルーマニア王カロス一世が夏の離宮として建てたお城だそうです。
先ほどのペリショール城と同じ王が建てたということですが、双方のお城は目と鼻の先にあるのに果たして2つも必要だったのか?という疑問。
無くても困らないものにお金をかけるのが、権力者の力の見せ所だったのかもしれません。
吹き抜けの中庭に面した壁も、大変装飾が凝っています。
こちらも入場料を払えば中に入ることが可能で、入場料は50レイ(1600円くらい)とのこと。
暖かい所に行きたい一心で入場料を払いそうになりましたが、暖を取るのに1600円はお高いのでこちらも入場は見合わせました。
後に“中に入った”という旅人さんにお会いしたのですが、大変良かったと絶賛していたので、建築や城に興味のある方はぜひ入場してみた方が良いかと思います。
城の後は、シナイアのもう一つの見どころだというシナイア僧院へ。
シナイア僧院は、この町の名の由来にもなった場所なのだそうです。
敷地内には2つの教会があり、大きい方は19世紀に建てられたとのこと。
入場は無料ですが、内部の写真撮影は不可。
私が行った時には、悪天候のせいか他に誰も人がおらず、広くて薄暗い教会内に一人でいることがなんだか神聖を通り越して不気味にすら感じました。
もう一つの小さな教会は17世紀に建てられた歴史あるものだそうです。
こちらは内部撮影可。
中は、大人が数人入ればいっぱいになってしまうくらいのこじんまりとしたスペースしかなく、壁には所狭しとイコン画が描かれていました。
四方八方から聖人の方々の視線を感じて、祈りに集中できなそうな気すらします。
絵は、見る側のコンディションによって見え方が変わるものです。
今の私には、この壁画が生気の無い目をした不気味な集団に見えます。
つまり、私のエナジーは寒さにより底をつきかけているのです。
はい、駅へと戻りたいと思います。
ずぶ濡れのわんこたち。
大粒の雨に打たれながらも、屋根のある場所を探すでもなくあきらめたようにじっと佇む姿が何とも気の毒です。
そして、大雨の中で町を一周した私もまた、このわんこたちと同じくらいずぶ濡れです。(傘はさしていたけど風で雨をしのぎ切れず)
駅で電車の時間を待つつもりでしたが、通りすがった“HOTEL SINAIA”があまりにも綺麗で暖かそうに見えて、つい吸い込まれました。
暖房が効いててWi-Fiまである天国のようなロビーでしばし休憩し、体力を回復。
ホテルシナイアさん、宿泊者でも無いのに紛れ込んで申し訳ありませんでした。
いつかこんな素敵なホテルに躊躇なく泊まれるようになって戻ってこれればと思います。
その可能性は絶望的に低いですが。
シナイアからブラショフへ
シナイア駅へと戻ってきました。
荷物をピックアップして、次の目的地ブラショフへと向かいたいと思います。
窓口でチケット購入。
ちょうど良い時間にRE(自由席の格安鈍行電車)があったので、それに乗ってみることにしました。
16時43分発、17時43分着のブラショフ行チケットです。
鈍行とは言え、シナイアからブラショフの間はたったの1時間なので、時間が合うなら格安のREチケットが断然お得です。料金14レイ(約450円)。
自由席なので満席だったらどうしようかと思いましたが、そんなに混んではいませんでした。
車両も普通に綺麗です。
電車は定刻通りブラショフの街へと到着。
すっかり日が暮れたブラショフの街。
雨に濡れた路面がイルミネーションを反射して、とても綺麗です。
本日の活動はこれにて終了。
まとめ
あまりのコンディションの悪さから、まるでシナイアに恨みでもあるかのような投げやりな書き方をしてしまいましたが、シナイアは評判通り、品のある美しい田舎町でした。
周囲を山に囲まれていて長閑だし、天気の良い日にはさぞかし気持ちの良い場所であることでしょう。
町の建物も、その一つ一つに趣があります。
首都のブカレストから、観光地として有名なブラショフに行く途中にあり簡単に立ち寄れるので、行ってみる価値のある町だと思います!
但しそれは、悪天候でなければの話。
大雨の日に、雨宿りできるカフェや商店の一軒もないような自然豊かな田舎町を観光するのは無謀だということが、よく分かりました。
次回は、古都ブラショフから“ルーマニアと言えば”の有名なお城に行ってみたいと思います。
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