《2023.11.30》
ジョージアの首都トビリシ。
この街には、日本人なら決してスルーすることの出来ない魅力的な場所があります。
それは、温泉。
なんでも、トビリシには古くから温泉が湧き出ており、6世紀ごろには温泉の存在を理由に首都をこの地に遷都させたほど愛されてきたのだとか。
トビリシという街の名前も、現地語で“あたたかい”を意味するトビリから来ているそうです。
温泉大好き日本人としては、これは行ってみないわけにはいきません。
トビリシ及びジョージアには他にもたくさん観光地はあるのですが、旅に出て以来一度も湯舟に浸かっていない私の第一優先事項は兎にも角にも温泉です。
そんなわけで、ジョージア到着の翌日、私は早速温泉に足を運んでみることにしました。
トビリシの温泉施設は、市内のアバノトゥバニ地区というところに固まっているようです。
こちらがそのアバノトゥバニ地区。
なるほど、かすかに硫黄のにおいが漂っています。
日本の温泉街とは少し雰囲気が違いますが、これはなかなか期待できそうです。
さて、ここの温泉施設のほとんどは、個室風呂を貸切るスタイルになっています。
何軒か聞いて回ったのですが、お値段は1室5000円前後。(もちろん時間制限あり)
た…高っ。
この後も何かにつけては身に染みて感じることとなるのですが、お隣のアルメニアと同じくジョージアも物価は大して安くないです。
かつては嘘のように物価が安くバックパッカーの聖地とまで言われたこともあったようですが、今はもうそんなものは幻です。
しかしあきらめるべからず。
アバノトゥバニ地区には2軒だけ公衆浴場を備えた温泉施設があり、そこならそこそこの値段で温泉に入れるらしい!
そこで私は、その内の一つであるQueen’s Bathに行ってみることにしました。
女王のお風呂だなんて、名前からして期待が高まります。
きっとお肌もすべすべになるに違いない。
わーい、温泉♪温泉♪おんs・・・
・・・・
これ・・・!?
失礼を承知で一言言わせていただきます。ぼっろ・・・!
しかも扉は固く閉ざされ、張り紙が貼ってあります。
“現在改装工事につき休業中”
なんと…。せっかく楽しみに来たのになんてついてないのでしょう。
しかし、改装工事中というのは大いに納得です。
むしろ、この廃墟みたいな外観で今まで営業してたことの方がびっくりです。
期間は書いていなかったので改装はいつまでかかるのか定かではありませんが、改装後に行かれた方はぜひコメント欄にてその感想を教えていただけましたら幸いです。
さて、そうなると残る選択肢は一つしかありません。
もう一つの公衆浴場、No.5です。
温泉は地下にありました。
まず受付でお金を払います。
入場料は6ラリ(約340円)でした。
ちなみに、アメニティ類はもちろんのこと、タオルなども一切入場料には含まれていません。
私はタオルを忘れてきたので仕方なく3ラリ(約170円)でレンタル。
渡されたのは真っ白の洗い立てのシーツでした。
なぜシーツ…?パリッとアイロンがかけられ、はっきり言って吸水性が悪そうです。
受付の先には、男女それぞれの更衣室があります。
コンクリート打ちっぱなしの壁がなんとなく刑務所のような雰囲気を漂わせていますが、勇気を出していざ更衣室へ。
ここから先はもちろんお見せするわけにはいかないのですが、更衣室には思った以上にたくさん先客がいました。
観光客はおらず、みんな地元民のようです。
勝手がわからずにいると、ロッカー番の従業員のおばちゃんが“このロッカー使いな。服脱いでね。”と身振りで教えてくれました。(英語は一切通じません。)
また、風呂場及び脱衣所はビーサンなどの簡易サンダルの着用が必要らしく、持っていないと伝えるとおばちゃんが自らのそれを脱いで貸してくれました。
アジア以外の諸外国ではこういった場所で全裸にならないイメージがあったのでどうするべきなのか若干戸惑いましたが、周りの人を見るとどうやら皆全裸で入浴するようです。
脱衣を終えて荷物や服をすべてロッカーに入れるとロッカー番のおばちゃんが南京錠をかけてくれました。
鍵はもらえず、ロッカー番のおばちゃんがすべてのロッカーのマスターキーを管理する仕組みのようです。
おばちゃんは全てのロッカーを開け閉めし放題なので若干防犯面に不安はありますが、幸い彼女からはロッカーの番人としてのプライドが感じられたので、ここは信用して託しましょう。
更衣室にはすでに硫黄の香りが立ち込めています。
はやる気持ちを抑えて、いざ浴室へ!
温泉♪温泉♪おんs・・・
あれ・・・。
湯舟、ないw
浴室に足を踏み入れるまで全く知らなかったのですが、この温浴施設No.5の女性浴場には、浴槽は存在しませんでした。
あるのは温泉水が出るシャワーが7か8か所くらいと、寝そべってマッサージや体を洗うサービスを受ける台のみ。サウナなどもありません。
この時の私の落胆をご想像いただけますでしょうか。
数か月振りの湯舟、それもアツアツの温泉に浸かるという夢は脆くも崩れ去ったのです。
では、湯舟もないのに他の人たちはどうしているのかというと、皆温泉水のシャワーを浴びています。
仕方ないので私もそれに倣ってみます。
ちなみに、このシャワーというのはシャワーヘッドがついているわけではなく、頭上に付いた蛇口を回すと温泉水が頭上から降ってくるスタイルです。
従って、それを浴びる光景は、もはや滝行。
見知らぬ土地で言葉無通じないおばさんたちと並んで全裸で滝行をする状況がシュールすぎて何だか笑えてきます。
さて、滝行をしながらそれとなく周りの皆さんを観察しているうちに、私はあることに気付いてしまいました。
みんな、つるつるだ。(敢えて主語は省略します。お察しください。)
若いお姉さんから腰の曲がったおばあさんまで、みんなつるつるです。
日本では、つるつる=遊んでそうなどというイメージを持たれることが多いですが、きっと海外ではこれが普通なのでしょう。
わき毛などと同様、ボーボーだと身だしなみに無頓着で不潔な印象を持たれるのかもしれません。
そこへ、1人のつるつるではないおばさんが入ってきました。
つるつるではないどころか、もはや原生林のごとくボーボーです。
なんだ…そういう人もいるのか。
みんながみんなちゃんと処理してるわけじゃないんだな。
そう思いながら何気なくおばさんを見ていたところ、おばさんは体を洗い、そしておもむろにカミソリを取り出しました。
そして、大胆にも原生林のお手入れを開始したのです。
直立だとやりにくいらしく、クレーンゲームのアームのようなガニ股体制でお手入れを進めるおばさん。
せめて壁の方を向いてやればよいのに、それだとおそらく暗くて手元が見えづらいのか堂々とこちらを向いています。
お手入れが進んで原生林の奥地に踏み込むにつれ、おばさんの姿勢はアームが開くかの如くどんどん大胆に…
そしてついに、原生林の最深部に到達した模様…
アームの中を覗き込むようにして上半身をかがめています。
ややしばらくして、“フゥ…”と立ち上がったおばさんの原生林は、見事に無くなりつるつるになっていました。
・・・ねぇ、そのお手入れは家では出来ないのですか?!
なぜこんな公衆の面前で…??
一連の流れを見るでもなくチラチラ見ながら温泉水の滝行をし続けていた私の体は、おばさんが出ていく頃にはすっかりぽかぽかのすべすべになっていました。
乾燥と寒さですっかりひび割れていた踵や指先も、かなりマシになりました。
湯舟がないとはいえ、この温泉の効能は確かなようです。
浴室から出た後は、ロッカーの番人に鍵を開けてもらって着衣を済ませ、帰宅するのみ。
いかにも吸水性の無さそうなタオルという名のシーツは、その見た目通り全然吸水しませんでした。
ヘアドライヤーは無料で使用可能だったので、寒空の下びしょびしょの頭で帰らなくて済んだのは幸いです。
惣菜とビールを買って宿にもどり、風呂上がりの一杯♪
大分思っていたものとは違ったものの、その効能にすっかり魅了された私は、この後トビリシ滞在中毎日のように、この温泉No.5に通うこととなったのでした。
日本とは違った不思議体験ができる温泉No.5、ぜひ皆様も行かれてみてはいかがでしょうか。
行く際には、タオル、アメニティ類、サンダル等お忘れなく。
あと、男性用の浴室にはちゃんと浴槽があるそうですよ。
次回は、トビリシから日帰りで行けるムツヘタという街に観光に行ってみます。
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