《2023.9.30》
無事エベレストベースキャンプとカラパタールに登頂成功を果たしたので、あとは下山あるのみです。
カラパタールからゴラクシェプのロッジに戻ったのは朝10時。
遅めの朝御飯 エッグベジフライドヌードル 1050NPR。
しっかりと栄養補給して、晴々とした気分で下山開始です。
ゴラクシェプの丘を越えるタイミングで、背後を振り返り山々に小さな声でお礼を言いました。
絶景を見させてくれて、本当にありがとう。
これからの人生どうなるか分からないけれど、多少の困難はこの景色を思い出したら乗り切れそうな気がします。
5000m越えの山に一人で上ったという自信と、“世界は広い”という事実を、この景色が思い出させてくれる気がするからです。
でも、多少の困難ね。大きな困難は無理です。私、打たれ弱いので。
あと、ツライことばかりじゃしんどいので、そろそろ素敵な出会いがありますように。それが無理なら宝くじ一等…
そんな感じでしばらく名残惜しく山を見つめていたところ、みるみる空が曇って雲が山を隠してしまいました。
早く下山しろってことですね。了解です。
さて、上るのはかなりのスローペースでしたが、下るのは一瞬です。
高度順応のことを気にしながらの上りに対して、下りはただ体力の続く限り歩き続ければ良いのです。
下り坂の傾斜も手伝って、転がり落ちるように下って行きます。
というか、比喩表現に留まらず本当に途中何度か坂道を転げました。
トレッキングシューズを履いているとはいえ、急な下り坂は足の踏ん張りが足りないと滑るのです。
他のトレッカーに「Oh…no‼」などとオーバーリアクションされると大変こっぱずかしく、素早く立ち上がって“ちょっとバランス崩しただけですけど何か?”という顔で歩き始めたりしてみましたが、実際は尻が割れそうに痛かったです。
下山初日は、ゴクラシェプからペリチェまで下山しました。
ペリチェは来るときには通らなかった集落です。
高度順応の関係で、上りはディンボチェ、下りはペリチェを通るトレッカーが多いようなので、私もそのようにしました。
ペリチェの宿、HIMALAYAN LODGE。
ダブル一泊500NPR、Wi-Fi・充電有料(いくらか聞いてない)、ホットシャワー700NPR。
通常山小屋では夕食時しか食堂のストーブをつけてくれないことが多いのですが、この宿は朝から晩まで終始ストーブをつけてくれました。おかげで、温かい上に4日ぶりの洗濯もさせてもらいストーブの熱でばっちり乾かすことができました。
ちなみに、トレッキング中は宿のシンクやその辺の水場で時々軽く洗濯をさせてもらっていました。
しかし、一番標高の高いゴラクシェプとその手前のロブチェでは、水の冷たさに加えロッジが混雑していて、とてもそれどころではなかったのです。
3日間連続で履いた靴下も、4日目を迎えることなく洗濯出来て何よりです。
晩御飯 ベジフライドライス 750NPR。
夕方、食堂の窓から外を見ると、夕焼けに照らされた山が最高に綺麗でした。
こんな綺麗な山とも間もなくお別れかと思うと、なんだかとても寂しくなりました。
《2023.10.1》
下山2日目の朝です。
朝御飯 ベジトゥクパ 600NPR。
宿を出発したのは朝8時。
今日も山が綺麗です。
ペリチェからの道は、歩きやすくて景色も良く、大変気持ちよく歩くことができました。
途中、テンボチェのカフェにてしばし休憩。
バナナケーキ 400NPR。
トレッキング中は基本的に朝と晩以外食べないようにしていたのですが、頑張った自分へのご褒美です。
行きの道では霧がかかって薄気味悪く感じたテンボチェは、本当はとても見晴らしの良い気持ちの良い集落でした。
集落のシンボル的なチベット仏教の修道院も見学させていただきました。
そして、“山に上らせてもらってありがとう”という気持ちでマニ車を回しました。
ナムチェに到着したのは、夕方4時ごろ。
行きと同じ宿にチェックインしようと訪問しましたが、宿にスタッフが誰もおらず待てど暮らせど誰も来なかったので、諦めてその2軒隣の宿にチェックインすることにしました。
FRIENDSHIP Lodge & Restaurant。
オーナーのアンドルジさんは、1年のうち数か月は日本の山小屋で働いているそうで、オリジナルステッカーまで作ってしまうほどの親日な方でした。
ダブルの部屋一泊 500NPR。充電、Wi-Fi無料、ホットシャワー500NPR。(浴びず)
部屋が広くて清潔で、枕元充電もあり大変快適でした。
晩御飯 バフダルバート 850NPR。
このダルバート、バフの肉がゴロゴロ入っていて食べ応えがあり、とても美味でした。
エベレスト街道ダルバート図鑑を作れるくらい山ではダルバートを食べまくりましたが、このダルバートが一番美味しかったかもしれません。
アンドルジさんが日本から買ってきたという緑茶もサービスで飲ませていただきました。
この宿は日本の小説がとても充実しており、日本で読みかけのままだった沢木耕太郎さんの『深夜特急』も置いてあったので、つい夜更かしして読書に耽ってしまいました。
《2023.10.2》
下山3日目の朝です。
朝御飯 ベジオムレツ 450NPR & インスタントお粥(持参品)
山では毎晩8時半には就寝する毎日を送っていました。
やることが無く暇なのもありますが、そのくらい寝ておかないと体力が回復しないのです。
しかし、昨夜は読書のし過ぎで夜更かしをしてしまった為、今日の私は完全に寝不足です。
ナムチェより下は一気に森林が増えます。
したがって、植物アレルギーによる鼻水とくしゃみが止まらなくなるし、綺麗な雪山はもう見えないし、大変きついです。
おまけにこの辺りは、下りと上りが交互にくるのでとても体力を消耗します。
体力が尽きかけて行倒れそうだったので、休憩をはさみます。
ベジララヌードルスープ 350NPR。
それにしても、すれ違うトレッカーの多いこと。
行きに歩いた時とは人の数が桁違いです。
来るときにはほぼ無人だったジョルサレのチケットオフィスも、今や大混雑です。
エベレスト街道トレッキングは10月からが本格的なハイシーズンとのことで、私が山の上の方にいる間に、麓には大量のトレッカーが押し寄せていたようです。
子どもと子犬の神コンビ。癒しをありがとう。
ヘロヘロになって、もう一歩も歩けんという状態になりかけたころ、ようやく目的地のルクラが見えました。
危うくトレッキング最終日に行倒れるところでした。この最後の一日がトレッキング中一番つらかったです。
ルクラの宿 SHERPA LODGE。
ダブルの部屋一泊 500NPR。Wi-Fi、充電 無料。シャワーは水なら無料。
優しい親日家のおじいさんがいる居心地の良い宿でした。
山での最後の晩御飯 ミックストゥクパ(値段失念)。
最後の山小屋泊で感慨深さに浸る間もなく、爆睡。
《2023.10.3》
朝6時半に空港へ。
ここから、カトマンズ近郊のラムチャップ空港までひとっとびします。
本当は帰りもジープに乗るつもりだったのですが、行きのそれがあまりにきつく、実は下山途中にナムチェに泊まった際にチケットツアーデスクでひっそりと飛行機チケットを購入していたのです。
お値段片道177ドル。
中々お財布には痛手ですが、こう見えても旅に出る前までは正社員として働いておりましたのでね…。たまには金で解決するのもありかと。
こちら、搭乗する飛行機。
このテンジンヒラリー空港は、山に囲まれ天気が変わりやすい上に滑走路が短く、今まで何度も墜落事故を起こしている『世界一危険な空港』なんだそうです。
でも、日本でニュースになっていないだけで、絶対ジープも山ほど事故起こしてると思うんですよね。
なので、“あの空港危ないみたいだから、飛行機やめてジープで行こう!”みたいな考えは全くおすすめできません。
飛行機の中は、コックピットにドアが無く操縦室が丸見えでした。
乗客の誰かが変な気を起こそうものならたちまち乗っ取られてしまいそうで怖いです。せめてドアはつけた方が良い気が。。
フライトは思いのほか快適で、飛行機はルクラからたったの20分でラムチャップ空港に到着しました。
行きはジープ+歩きで3日掛かった道のりがたったの20分です。なんと儚いのでしょう。
空港からカトマンズ市街地は、バスや乗合バンなどが出ています。
最初は2000NPRと言われた乗合バンは、顔見知りのネパール人ガイドが現地語で交渉するとたちまち1500NPRまで下がりました。
乗合バンに揺られること4時間…
ついにカトマンズに生還です。
馴染みのタメルの宿にチェックインして、兎にも角にもまずはシャワーを。
なにしろ、もう1週間近く頭を洗っていないのです。
久しぶりに浴びるシャワーは、卒倒レベルの気持ち良さでした。
“こんな爽快感を味わえるなら、たまにはあえて1週間くらいシャワー浴びないのもありかな”なんて、訳の分からん思考に陥りそうになるくらいの気持ち良さでした。
そして、、
綺麗さっぱりしたあとは、お待ちかねの祝賀会です!!(もちろん一人で。)
下山を開始したくらいから、私の脳内は“一刻も早くビールを飲みたい”という思いで埋め尽くされていましたので、自分の欲求に素直に従って心行くまで飲ませていただきました。
登頂を祝して、酒のお供はかつ丼です。
幸せな夜を過ごし、ほろ酔い気分で薄着のまま寝た私は、このあとたちまち風邪をひいたのでした。
トレッキング記録
下山1日目
ゴラクシェプからペリチェ
時間:4時間半
下山2日目
ペリチェからナムチェ
時間:7時間
下山3日目(トレッキング最終日)
ナムチェからルクラ
時間:7時間半
これにて、私のエベレスト街道トレッキング記録は終了となります。
お読みくださった方、大変ありがとうございました。
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