【続インド⑩】ラストインド鉄道

世界一周日記
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《2023.10.28-29》
暑さと風邪にやられてダラダラと過ごしたムンバイを離れ、インド鉄道で一路デリーに向かいます。
ムンバイからデリーは約18時間。中々の長旅です。

列車は、ムンバイ旧市街にあるチャトラパティ・シヴァージー・ターミナス駅から出発します。

イギリス植民地時代に建てられた見事な駅舎は、世界遺産にも登録されているそうです。

構内も大変美しく、まるでイギリスにいるかのような錯覚に陥ります。(イギリス行ったことないけど)
インドにしては珍しく、床に寝転がってる人も一人もいません。
バラナシやコルカタの駅とは大違いです。

プラットホームをどんどん奥に進んでいくと、長い通路があります。

日本の駅地下みたい。
通路には、駅の歴史などに関する写真展示もありました。

通路の途中にエアコン付き休憩室あり。

さらにその隣には、有料のラウンジまであります。
有料と言っても一時間10ルピーほどと良心的なお値段です。
中には綺麗で快適な椅子やテーブルと軽食コーナーなどがある模様。
さすが先進都市ムンバイの駅は一味違います。

さて、こちらが私のインド鉄道今旅最後の列車です。
相変わらず果てしない長さ。

これまではSleeperクラスに乗ることが多かったインド鉄道ですが、今回はSleeperクラスのチケットが取れず、一つランクが上のAC3 Tier(エアコン付き3段寝台)に乗ることにしました。
お値段2876ルピー。
インドにしては中々のお値段です。こないだ乘ったムンバイ行きのスリーパークラスは7時間の乗車で400ルピーだったのになぁ。

しかし、良いお値段なだけあって車内は清潔そのものでした。
インド鉄道=カオス的なイメージを持たれることが多いですが(そして車両によっては実際カオスですが)、AC3以上のクラスではその心配はあまり必要なさそうです。

清潔なシーツのサービスあり、ボトルウォーターのサービスあり、至れり尽くせり。
乗っている乗客の皆さんも、身綺麗で気品のある方が多い気がします。

トイレだってほれこの通り。ピカピカだし水もしっかり流れます。

列車内での防犯対策はこんな感じ。大きなメインバッグは座席の下に押し込んでチェーンを掛け、貴重品はウエストポーチに入れて常に身に着けています。
インド鉄道はちょっと油断したらすぐに荷物を盗まれるなどと聞いたことがありますが、幸い私は特に被害にあうことはありませんでした。(サンダルをトイレに履いて行かれたことはあります。トイレから戻ってきたおじいちゃんの足元みたら私のサンダル履いてました。)

列車は定刻に発車し、順調に走行。
ほどなくして周りの席には車内サービスのお食事が届けられ始めました。
AC3より上のクラスでは、事前に申し込んでおけば列車内のキッチンで作ったお食事を席まで運んでくれる有料サービスが利用可能です。
私は車内を練り歩く物売りからごはんを買うことを楽しみにしていたので、お食事サービスは申し込まず。
しかし、待てども待てども物売りはやってきません。

煮えを切らして試しに隣の乗客に聞いてみたところ、「エアコン付きのクラスに物売りは来ないよ。スリーパークラスなら来るけどね。」とのこと。
えーーーー、楽しみにしてたのに。

ACクラスに来るのは、鉄道職員による正規の車内販売のみ。
売られているものも、個包装された市販のお菓子やペットボトルドリンク、カップ麺など衛生的な物ばかりです。

お腹が減ったので仕方なくカップ麺を購入。
清潔なポットからお湯を注いで渡してくれます。
インドに来た当初の私なら、『おなか痛くなったら困るしこっちの方が安心安全!』と思っていたに違いありません。
でも、今私が求めているのは、これじゃない。
私が欲しいのは、誰がどこで作ったのか分からないビリヤニや、新聞紙にくるまれたサモサや、おじさんの素手で鷲掴みにされたよく分からん豆スナックなのです。
“あーあ、スリーパークラスに乗りたかったな…”と思った自分に我ながらちょっとびっくりしました。
たった一か月あまりの間に、こんなにインドに染まっていたとは。

ちなみに、スリーパークラスとAC3クラスはベッドの配置や社内のレイアウトは全く同じです。
物売りの他に違うのは、“エアコンの有無”、“シーツやブランケットのサービスの有無”、“客層”などです。

さて、乗車から数時間、外が暗くなり始めたころ、列車は途中の駅に止まりました。
そこで乗り込んできたおじさんが私のベッドの隣で止まり、私のベッドを指さして一言。

「ワシの席、ここだよ。」

おじさんの乗車券にはたしかに私と同じ座席番号が書かれています。

・・・・・。

実は、これは予期していたことでした。
今回私が買うことが出来たのは、『RAC』というチケット。
RACとは、Reservation Against Cancellationの略で、“席に空きが出たら丸1席使えるけど、空きが出なければ2人で1席をシェアしてね”というチケットです。
当日キャンセルの多いインド鉄道では、RACでもほとんどの場合1席丸ごと割り当ててもらえるようなのですが、どうなるかは運。
空きが出て一人で席を使えることを期待していたのですが、ダメだったみたい。
しかしながらこんな微妙なチケットを、普通のチケットと同じ値段で売ってるのがさすがインドです。

そういうわけで、仕方なく、おじさんとあいのりの旅が始まりました。
不機嫌な表情のおじさん。
「なんでよりにもよってこんな外国人の女と席をシェアしなきゃならんのだ」とか思ってるんだろうな…。

通常、インド鉄道ではRACで乗車したとしても途中で座席を調整してもらえることがほとんどであるらしく、職員が通りかかるたびに「席の空きはないか?」と確認するおじさん。
しかし、職員は首を横に振るばかり。
その度にどんどん顔が険しくなるおじさん。

私とおじさんの間には一言の会話もないまま、気まずい時間が流れます。
ねぇおじさん、こんな言葉も通じない外国の女と相乗りなんて嫌だろうけど、そんな怒った顔しないでよ。こっちだって我慢してるんだからさ…。

そのまま数時間。
夜も更け、周りの乗客が寝支度をはじめた時、おじさんが立ち上がり片言の英語で話し掛けてきました。

「ワシどこか行くから、キミがここに寝なさい。」

そしておじさんは荷物をまとめ、最後に少しだけにこっと笑ってどこかへ消えていきました。

私はずっと彼を、“イライラして、嫌なおじさんだな”と思っていました。
でも本当は、おじさんは不機嫌だったのではなく、“狭い寝台で外国人の女とインド人のおじさんが添い寝する”という異様な事態を回避する為に色々考えてくれていたのかもしれません。

こんな乗車率100%越えの車内で他に空いている席なんてないだろうし、おじさんだって高い座席代払って乗車しているだろうに…。

インドにはうざい人も嘘をつく人もたくさんいるし、距離感おかしい人やマナーの欠片も無い人も山ほどいるけど、それをひっくり返すくらい優しい人もいます。
そういうインドの人たちの優しさを知れたのは、今回のインド滞在の大きな気付きでした。

“インドに来て良かったな。”としみじみしつつ、寝る前のトイレへ。

さぁ、トイレも済ませたし、いざ就寝!

…と思って席に戻ったら。。

…あなた、誰。

トイレに立ったものの3分くらいの間に、さっきのおじさんとは全く無関係の見知らぬおっさんが私の席を占領していました。
しかも、シートの上でカレーをむさぼり食っています。

私「あの、ここ私の席なんですけど。」
おっさん「ノープロブレム!」
私「ノープロブレムじゃないです。私寝るので。」
おっさん「3分で食べ終わるから!ノープロブレム!」
私「・・・・。」

いや普通、この状況でノープロブレムかどうか決めるのって私側じゃないかな。
しかも、急いで食べてるからめちゃめちゃシートにカレーこぼしてる。

10分後、ほぼ食べ終わった彼の元に仲間らしきインド人が現れ、こんもりと彼の皿におかわりをよそっていきました。
結局彼が食べ終わったのは20分以上経ってから。
全然3分じゃないし、シートはこぼした米だらけ。

嗚呼、やっぱりインドはインド。
ねえ、私の感動を返して。

そんなこんなで、複雑な思いを胸に、最後のインド鉄道の夜は更けていきました。

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コメント

  1. Sonoko より:

    もう最高です!!(笑)
    一つのベッドを二人で使えとか、しかも知らない男女でとか、ほんとインドっておかしな国ですよね。昔は窓口で割と直前に取っても買えることが多かったので、私は今までに一度もそう言う経験はないです。

    昔列車で頼んだ食事が届いて、手を洗いに席を離れて戻ってきたら、インド人の男の子たちのグループの一人が私のご飯を食べちゃってました。間違えたんじゃなくて、笑いながら。サイテーですよね。
    その後もう一度ちゃんと食事もらいましたけど。

    インドって気分が上がったと思ったら直後に下がることがあって、また上がって下がって・・・感情の起伏がこんなにも激しくなる国ってなかなか無い気がします。
    ムカつくのにハマりますよね!ね!???(笑)

    Sachieさんが世界一周を終えて振り返った時に、どの国が一番印象に残っているのか興味あります。

    • SACHIESACHIE より:

      結構男女間のルールとか厳しい面もあるのに、鉄道の座席となれば話は別なんですね。せめて女の人とシェアとか配慮してくれるかと思いきや、普通におじさんが来て「あ…そこはなんも考えてくれないのね…」と思いました💦あわやおじさんと添い寝するところでした。
      本当、インドはイラついたり感動したり忙しいですね…!

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