【アルメニア③】ゲガルド修道院とガルニ渓谷へ

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《2023.11.25》

本日も、首都エレバンから日帰り観光に行きます。
今日行くのは、アルメニアの観光地の中で最も有名と言っても過言ではない世界遺産“ゲガルド修道院”と、その割と近くにあるという“ガルニ渓谷”です。

エレバンからゲガルド修道院へは、マルシュルートカ(乗り合いミニバス)と徒歩で行けるようです。
早速行ってみましょう!

エレバンからゲガルド修道院まで行くには、まずゲガルド修道院から一番近いゴグドという村まで行く必要があるようです。
ゴグド行のマルシュルートカは、下の地図の公園の隣の路上に停まっていました。

なぜアルメニアのバスはこんなにもあちこちに乗り場が分散しているのでしょうか。
バスターミナルにまとめてくれた方がみんなにとって分かりやすいと思うのですが…。

ゴグド行のバスは、265番か266番か284番のようです。
ちょうど先発のバスが行ってしまった直後だったらしく、発車まで40分ほど待ちました。

車内には一応料金表があります。
一文字も読めませんが、始発から終点まで乗るので一番高い500ドラム(約200円)に違いないと思っていたところ、読み通り乗車賃は片道500ドラムでした。

マルシュルートカは1時間弱でゴグドにつきました。
建物が数件あるのみの、村とも呼べないくらいの鄙びた場所です。
野放しの牛がその辺をうろついています。

ここで、突然どこからともなく犬が現れました。
耳も尻尾もカットされた妙ないで立ちですが、大変人懐っこく擦り寄ってきます。

私が歩き始めると、心得たかのように先を歩き始める犬。
時々立ち止まっては、私がちゃんとついてきているかを確認するかのようにこちらを振り向きます。
なんてかわいいのでしょう。
凍てつく氷点下の中で1時間も歩くなんて苦行だと思っていましたが、この犬が一緒に歩いてくれたおかげで道中がとても楽しくハートフルな時間になりました。

ゲガルド修道院に続く門と、犬。

しかし、私を先導しながら1時間もの道のりを一緒に歩いてくれた犬は、修道院の敷地に近づくや否や修道院の関係者の人に追い払われてしまいました。
リュックに入っているパンを与えて最後にきちんとお礼を言ってお別れしようなどと思っていたのですが、それは叶いませんでした。
雪玉を投げられてすごすごと走り去っていった犬が忘れられません。
全力で追いかけてでも最後にパンをあげて頭を撫でてお別れすれば良かった、と今でも後悔しているほどです。
ゲガルド修道院に行かれる方で、もしこのワンちゃんを見かけることがあれば、何卒よろしく伝えてかわいがってあげてほしいです。人懐っこいこの犬が人間を嫌いにならないように。

そんなわけで、沈んだ気持ちのままゲガルド修道院に到着です。
入場料などはなく、誰でも自由に出入りが可能です。

このゲガルド修道院は、アルメニアの中でも特に古い歴史をもつ修道院で初期キリスト教時代にはすでに開設されていたと伝えられているそうです。
この国でキリスト教が国教となったのは301年のことですから、その頃に作られたものと考えると1700年以上もの歴史があるということになります。(現在の建物は13世紀につくられたもの)

修道院の名前になっている“ゲガルド”は槍を意味する言葉で、イエスキリストの脇腹を刺したロンギヌスの槍がここで発見されたことに由来しているそうです。

修道院の中は、大変厳粛な空気が流れていました。
全くと言ってよいほど鮮やかな色のない黒々とした空間に、他では類を見ないような美しさを感じます。

有名なライオンのレリーフ

この岩窟礼拝堂は、もともとここにあった一つの大きな岩を削って作られたものなのだそうです。
壁や天井の彫刻の繊細さも大変見事です。

修道院の壁には、ハチュカルと呼ばれる十字架が無数に彫られています。
雪景色とのコラボも、大変神秘的で美しいです。

敷地の裏手には、一面の美しい雪景色が広がっていました。

ちょうどアルメニアンマダム達が集合写真を撮影しようとしていたので静かに横を通り過ぎようとしていたところ、呼び止められてなぜか私のカメラでマダム達の写真を撮る流れになりました。
言葉は一切通じませんが、私が首から下げていたミラーレス一眼を指さして“私たちを撮って!”とアピールしてくるのです。
“撮った後、データ転送要求されたりするかな、ちょっと面倒…”と思ったのですが、撮り終わるとマダム達は満足そうに去っていきました。
他人のカメラで写真撮ってもらって嬉しいものなのでしょうか。私はカメラに残ったマダム達のお写真をどうするべきなのでしょうか。
それにしてもアルメニア人女性は中東とヨーロッパの良い所取りをしたような、エキゾチックな大変美しいお顔立ちをしています。
このマダム達も20年前には男性を虜にするような美貌を持っていたことでしょう。
いや、決して今はもう美貌が損なわれているなどとは言っていませんよ。今でもこんなにお美しいんだから、若い頃はさぞかし美人だっただろうなと思いまして。

結局、ゲガルド修道院の滞在時間は1時間ほどでした。
また1時間ほど歩いて、来た道を戻ります。。
次の目的地であるガルニ渓谷へは、来るときに降りたゴグドからマルシュルートカが出ています。

ゴグドは大変小さな集落なので、適当に歩いていればすぐに乗り場は見つかります。
ゴグドからガルニは、車で10分ほどの距離です。
乗車賃は100ドラム( 約40円)でした。

ゴグドほどではないものの、ガルニも十分歩いて回れるほどの広さの小さな村です。

ところで、実はガルニには渓谷の他にもう一つガルニ神殿という観光スポットがあるのですが、今回はそちらには行かないことにします。
ガルニ神殿は1世紀頃に古代ローマが作ったという大変歴史ある神殿なのですが、過去に地震で全壊してしまったらしく、今あるものは近年になってから再建されたものだというので、入場料も1500ドラムかかるしまぁ入らなくていっか…となったのです。

渓谷はガルニ神殿の裏手に進んでいくとあります。
上の写真の真ん中に写っているのがガルニ神殿の料金所で、その左側の細い路地が渓谷へと続く道です。

道は途中で分岐しているうえにどんどん細くなっていくので何度か迷いそうになりました。
正しい道を選ぶポイントは、とにかく下りの道を選ぶことです。

ひたすら下っていくと、この渓谷の見どころである奇岩が見えてきました!
この奇岩は柱状節理と言って、マグマが冷却されたり地殻変動が起きた際にできるものなのだそうです。

近くで見るとものすごい迫力!!
何本もの六角形の石が束になってくっついています。
これが自然にできたものだとは、にわかには信じられません。
いや、だからって人の手で作られたものにも見えるってことでもないんですが。
ほんと、今まで見たことのない未知の物体という感じです。

この奇岩群は“ストーンシンフォニー(石の交響曲)”とも呼ばれているそうです。
たぶん、形状がパイプオルガンのパイプに似ていることからそのネーミングになったのかと思われます。
…なんかもう、あまりにもびっしりで、ちょっと気持ち悪ささえ感じるのは私だけでしょうか。

ちなみに、さもあっさり辿り着いたかのように書きましたが、このストーンシンフォニーに辿り着き渓谷を抜けるのには1時間程度のトレッキングが必要です。

ストーンシンフォニーを横目に見つつ、“そろそろ小腹が減ってきたなぁ”と思ったところ、たまたま通りかかった車の運転手のおじさんが突然リンゴとクルミをくれました。
なんてナイスタイミングでしょう。おじさん、あなたはエスパーですか。

さらにもう少し歩くと、先ほどゲガルド修道院で写真を撮ってあげたアルメニアンマダムの集団に遭遇し、おやつをもらいました。
パイのようなおやつがサクサクでとても美味です。

マダム達と別れて少し歩くと、今度は車のボンネットで酒盛りをしているおじいさん2人組に遭遇しました。
嬉しそうにグラスにコニャックを注いで手渡してくるおじさんたちの好意を無下にできず、仲間に加わることに。
言葉は一言も通じないので、ニコニコしながらあれこれ話掛けてくるおじいさんを見ながらただヘラヘラして合図地を打つことしか出来なかったのですが、楽しそうなおじいさんを見ていると何だかこちらも大変居心地がよく、ついすすめられるがままにコニャックをどんどん飲み干してしまいました。
つまみも豊富で、果物やサラミやパンなどを次々といただきました。
アルメニアの人はとても親切で優しいイメージがありましたが、このおじいさんたちとの出会いでますますアルメニアの人が大好きになりました。
ちなみに私、この時人生で初めてコニャックを飲んだのですが、思ったよりとても飲みやすくて大変美味しかったです。
ストーンシンフォニーを見ながらというシチュエーションも美味しさを倍増させたのかもしれません。
その時は何だかよく分からず飲んでいましたが、あとから調べたらコニャックってアルコール度数40%もあるんですね。
そんなわけで、すっかり満腹&ほろ酔い状態で渓谷をあとに。

帰りは、来るとき降りたあたりのバス停で待っていたら無事にマルシュルートカがやって来て、エレバンに戻ることが出来ました。
コニャックをたらふく飲んだため、帰りのバスの中は尿意との戦いでした。
すっかり日が傾いたエレバンの街に到着し、なんとか持ちこたえて無事に宿(のトイレ)についた時にはとんでもない達成感がありました。

これにて本日の観光は終了。
ゲガルド修道院もストーンシンフォニーも、思っていたより大変すばらしく充実した一日になりました。
特にストーンシンフォニーは、他の日本人旅人さんも皆“あそこは言ってよかった!”と口を揃えていたので、自信をもってお勧めできるスポットです。

次回は、首都エレバンを観光していきたいと思います。

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