【続インド⑧】オーランガバードからエローラ石窟群へ

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《2023.10.23》

前日のアジャンター石窟群に続き、本日もオーランガバードから日帰りで行ける激アツ世界遺産に行ってみたいと思います。
その名も、“エローラ石窟群”
10年以上も昔、TBCのテレビ番組『世界遺産』で見て衝撃を受け、それ以来ずっと行ってみたかった憧れの遺跡です。

以下、エローラ石窟群について説明を少々…

エローラ石窟群とは
紀元後6世紀から10世紀にかけて500年にわたり幅2キロの崖に彫られた僧院、礼拝堂、寺院などの石窟群。34の石窟があり、そのうち12が仏教窟、17がヒンドゥー窟、5つがジャイナ教窟になっている。

3つの宗教建築が一か所に集まる遺跡は、世界でも他に例を見ないのだそうです。
大変楽しみです。ワクワク。


オーランガバードからエローラは40㎞程と距離も近く、バスで1時間弱くらいの道のりです。

エローラ行きのバスは、アジャンター行きと同じくCentral Bus Stand Aurangabadから出ています。
その辺にいる人に「エローラ?」と聞けば、乗り場もバスも一発で分かります。

こちらが乗車するバス。
乗車賃は片道50ルピー(90円)です。

朝御飯を食べていなかったので、バスの近くにいたバナナ売りからバナナ購入。
適当に20ルピー(35円)渡して「バナナください」とお願いしたら、6本ももらえました。
ありがたいのですが、おかげで、遺跡でもずっとバナナを持って歩く羽目になりました。

バスはぎゅうぎゅう詰めでした。
一番前の席に座って出発を待っていたら、運転手が「君はここに座りなさい。」と運転席横のエンジンの上を指差してきたので、「嫌です。」と断りました。
事故ったらフロントガラスから飛び出して真っ先にお陀仏になるような席になぜ私を指定してくるのですか。絶対に御免です。

バスは40分程でエローラ入場口付近の交差点に着きました。

入場口を入って左手にチケットカウンターの小屋があります。

料金、外国人600ルピー、インド人(とその周辺国民)40ルピーというお決まりの展開です。
わたくし大人ですから、金額の差に文句なんて言いません。どーんと払ってやります。

こちら、チケット代わりのトークンと入場ゲート。
早速入って行きましょう!

ゲートを入って少し歩くと開けた場所に出ます。

どどんと正面に見えるのは、エローラ最大の見どころと言われている第16窟です。

エローラ石窟群は全部で34窟あり、このメインの16窟を正面にして右側に行くと1~12まである仏教窟、左側に行くと30~34のジャイナ窟、そして16窟の周辺がヒンドゥー窟です。

早く第16窟を見てみたいところではありますが、私、メインは最後にとっておきたいタイプですので、ここは第1窟の仏教窟から見ていきたいと思います。

以下、ハイライトを写真と共に一部ご紹介。

第2窟。
エローラ石窟群の中では注目度の低い石窟ですが、すでに十分な迫力があります。

第5窟。
エローラ最大の内部空間を持つ僧院で、講堂として使われたそうです。
エローラの石窟は、全て岩を手作業で掘りぬいたものであり、この広い空間も例外ではありません。
これだけ広い空間を掘るのに、どれだけの時間が掛かったことでしょう。

第10窟。
仏塔を祀る為に、7世紀に造られた石窟です。

第12窟
まるで近代建築の廃墟のようですが、1000年以上もの昔に作られたものです。
それも、重機の無い時代にただただ手作業で岩を削って作られた石窟です。
ここは当時、たくさんの僧侶たちの住居兼講堂だったのだとか。

シンプルに見えますが、内部の壁には仏像がびっしりと彫られています。

ここはたしか第15窟。14窟だったかも…
彫刻のテイストが変わったことにお気付きでしょうか。
第1~12窟までが仏教窟なのに対し、第13窟~29窟はヒンドゥー窟です。
しかもそれらは非常に近い立地にある上に、作られた時期も重複しているようです。
異なる宗教建築がほんの十数メートルの場所に位置しながら、破壊し合ったりすることなく互いを尊重して建設されたのもエローラのすごいところです。
異教徒同士が互いに交流したり切磋琢磨する機会もあったのでしょうか。
世界中がそんな風になれば素敵です。

ちなみに“どれが何教だか訳分からなくなるんじゃないの?”と思われるかもしれませんが、彫刻の特徴を見れば何教かは大体察しがつきます。

静かなポーズで瞑想していたら仏教
体から腕が何本も出ていたり、巨乳が奇抜なポーズを決めてたらヒンドゥー教
素っ裸の男が登場したらジャイナ教

です。(あくまでも個人の見解ですが)

第15窟のお隣は一番の見どころである第16窟ですが、そちらは最後の楽しみにとっておくため、一気に一番北にあるジャイナ教窟エリアにワープします。

というわけで、こちら第32窟。

素っ裸の男が登場しましたので、説明が無くてもここはジャイナ窟であることが分かります。

ジャイナ教は、禁欲を重んじることから、所有=欲求の現れ=衣服も所有しない全裸が理想…ということになっているようです。
あまりにも極端な思考に、『え…なぜそこに行きつくの…?』と思わずにはいられませんが、現にジャイナ教では仏像だけでなく僧侶も素っ裸なのだとか…。

皆さん、全裸でそんな堂々と直立されましても、私どこに目線をやれば良いのでしょう…。

…とか言いつつガン見ね。
私、色んな欲にまみれてますので、ぜったいジャイナ教には入信できなそうです。

禁欲しているとは思えない宝飾品とわがままボディーですが、こちらもジャイナ教彫刻です。

マンゴーの木の下に座る女神。
これだけ見ると正直、ジャイナ教だかヒンドゥー教だか見分けがつかないですね。(こちらもジャイナ教彫刻です)

北の端からどんどん南に進みます。

第29窟。
腕が何本も生えていることから察しがつくでしょう。ここからはヒンドゥー窟です。
入り口すぐ横の戦うシヴァ神に圧倒されます。

見てこの彫刻の大きさ。
第29窟は非常に広く、壁という壁に巨大な彫刻が施されており、とても見応えがあります。
“エローラはメインの第16窟だけでいいや”と思っている人も、せめてこの第29窟には足を運ぶべきです。絶対に後悔はしないはず。

写真を撮ってくれたお姉さんが、「旅を楽しんでね!」と自分が食べてたせんべいを半分分けてくれました。
気持ちは超嬉しいけど、それ、今あなたがかじってたやつ…
食べてみたら、ものすごいマサラ味でした。
嗚呼、インド。
でも、こういうインドらしさに段々はまり出している自分がいます。

さらに南に進んで、第21窟。

壁にカンガ―女神が彫られています。
インド人にとっては、この女神がガンジス川そのものであり、この像が作られた約1400年前から現代にいたるまでその考え方は脈々と継承されているのです。
時の流れと共に街も人の考え方も変わる中、これだけ長い時間変わらないインド人の信仰心はもはや無形文化財のようなものではないかとすら思います。

さて、見どころが多すぎてたどり着くまでに大分時間が掛かりましたが、ようやく最後にして最大の見どころ、第16窟にやってきました。

紀元756年から100年間もの月日をかけて作られたというこの第16窟は、“カイラーサナータ寺院”と呼ばれ、完成から1000年以上たった今もなお人々の信仰の対象なんだそうです。

入り口からして、他の石窟とは気合の入りようが違う感じが伝わってきます。
中に入っていきましょう。

以下、余計なことは申しません。その凄さをとくとご覧ください。

上の写真のように、ところどころ色が残っている部分もあります。
アジャンター同様、エローラも完成時には彫刻と共に壁画が施されていたのだそうです。
しかし、アジャンターのように忘れ去られることなく、常に人々の注目の対象であり続け、更に雨風にも晒されたことから現在はほとんどの壁画は風化しています。
完成当初のエローラはどれほどに美しく、人々を魅了したことでしょうか。
その時代にこの遺跡を見ていたとしたら、私もきっと『これは神の創造物だ』と信じ、ヒンドゥー教に熱を上げていたいたかもしれません。
それほどにこの遺跡は異次元です。

本殿内部にあるシヴァ神のリンガ。

上から見た図。

見て。この天井の上、地上からは見えないようなところに至るまで細かく施された彫刻を。
これを大きな一つ岩から100年の歳月をかけて掘り出したのです。
もはや、人々に神が乗り移って実現させたのではと思ってしまう偉業です。

そんなこんなで、最後の第16窟を見終えた時には入場から5時間近くが経っていました。

興奮冷めやまないままですが、オーランガバードへと戻ります。

帰りのバスは、来た時にバスを降りた辺りの反対側辺りに人々がたむろしている場所があり、そこから乗ることができました。


来たバスはピカピカの真新しいバスでした。お値段行きと同じく50ルピー。
バスは混んでいて、立ち乗りの人もいるほど。
途中で乗ってきたおばあさんに席を譲ったら、その瞬間周りの人が一斉に立ち上がり「ここに座りなさい!」「いや、こっちに!」と席を譲って座らせてくれました。

“外国から来たもんを立たせるわけにはいかん!”みたいな思いがあるのかもしれません。
インド人、うざい時もあるけどほんとに親切。
皆さん、ありがとう。

そんなこんなで、バスは1時間弱でオーランガバードに到着。

大満足の遺跡観光の後は、もちろんビールです。
暑い中を汗かいて歩き回った後のビールは、それはもう普段にも増して最高なのです。

いやしかし、楽しみにしていた“アジャンターとエローラ”は、期待通りというかそれ以上の素晴らしさで、本当に来て良かったと思いました。

今回の旅程を決める際に、ツイッターなどでアジャンターとエローラをお勧めしてくださった方、その説はありがとうございました。おかげで大変すばらしい観光が出来ました。
感動の余韻をつまみに大瓶をしっかり2本空け、充実の1日が終了です。

さて次回は、インドの大都市ムンバイへと移動していきます。

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コメント

  1. Sonoko より:

    Sachieさんこんにちは。
    その後インドのあちこちを回られて、インドが大好きになられたようで(笑???)よかったです。

    エローラ、アジャンターは23年前に行きましたが、当時はまだ料金がとても安かったんですよね。
    正直あまり当時のことは覚えていないんですが、(途中のバス休憩のトイレの床がう○こだらけだった印象が一番強い)高い料金を払っても見る価値がある、素晴らしい遺跡だなと改めて思いました。写真も素晴らしいですね。

    先程インスタを覗いてみましたが、元保育士さんなんですね!一緒〜!と嬉しくなって久し振りにコメントしてみました。

    続きも楽しみにしていますね。

    • SACHIESACHIE より:

      sonokoさんには足元にも及びませんが、インドの魅力が少し分かってきた気がします。
      そして、悔しいことに(?)、インドには素晴らしい遺跡や歴史的建造物がありすぎです。
      23年前だと、遺跡の周りの環境も今とは大分違いそうですね!
      そうなんですー、旅に出る直前までは保育士でした!
      少しだけ拝見したのですが、sonokoさんもインド行ってきたんですね。
      そちらのブログも楽しみにしています!

      • なつみ より:

        すみません、お名前も存じ上げすはじめからここまで面白くて読みすすめていましたが、保育士さんだったのですね!
        わたしも2023年12月に派遣保育士を辞めて旅にでました!
        さぞかし連絡帳を面白く記録してくれていたのでしょうね😳💓
        初めてのタイ・ラオス・ベトナム・カンボジアで宗教や世界遺産の遺跡、彫刻に惚れ惚れしているところでございます!
        絶対にインドはさちえさんの足跡をたどる旅をしそうです!
        インドビザの申請時は動悸が止まらなかったのですが、今はすごく楽しみになっています🥰🥰🥰
        ありがとうございます!

        • SACHIESACHIE より:

          なつみさんも保育士さんなんですね!
          エローラ、アジャンターは見応えがありおすすめです。
          比較的インドの南部にあるので、北部よりは人もおだやかです。
          最近はリアルタイムの旅が忙しすぎて全くブログを更新できていないのにも関わらず、引き続きお読みいただいてありがとうございます…!

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